大会長挨拶
ご挨拶
本研究大会は性同一性障害の当事者の方達と歩みを共にして来たと理解しています。性同一性障害に関するさまざまな問題について、専門家と当事者が一堂に会し、同じフロアで議論を重ねてきたことが多くの実りある成果をもたらしてきました。性別違和感に悩む方達と関わる日々の診療の中でも、他の疾患に比べて当事者の方達の意志や選択、自己決定が大きな比重をもつことを感じます。
また、本研究大会は学際的であります。医療、法学、心理学、教育、社会学、行政など様々な分野が性同一性障害に関係しており、多面的からの視点に刺激を受けることができることも本研究大会の大きな特徴です。
今回も様々な一般演題のご応募をいただきました。性同一性障害に関する本学会やウェブサイトさらに学校でのとらえられ方、ジェンダーアイデンティティの本質に迫ろうとするご研究、各地の医療施設での性同一性障害診療への取り組み、手術やホルモン療法についての工夫、そして地方における当事者活動についてのご報告など、どれも大変重要で意欲的な演題であることは間違いありません。
特別講演の一つを山本蘭さんにお願いしました。当事者活動がこれまでに多くの成果をあげてきたことと思います。今後、当事者の方達がこの社会の中で生活をしていく上でどのような困難と問題が残されておりどのような活動が効果を上げうるのかをお話ししていただけると思います。
もう一つの特別講演を塚田攻先生にお願いしました。前回、長崎での本大会講演で山内俊雄先生が性同一性障害に対する精神療法的なアプローチに関する研究の必要性について言及されました。手術療法やホルモン療法などの身体的治療と比べると、性同一性障害に対する精神科的アプローチはまだ体系的な方法ができあがっていないのではないかと考えられます。塚田攻先生には、当事者がさまざまな困難に対処する際の着目点を、豊富な臨床のご経験から論じていただけると思います。
シンポジウム「身体的治療の問題点と将来への展望」では、乳房切除術や性別適合手術、またホルモン療法についての問題点、さらには病因論に迫る可能性のある胎生期のホルモン環境についてご発表をいただき、性同一性障害の身体的な側面に関する議論を深めることができればと思っております。
参加される皆様による活発なご討論や情報交換を期待しております。
平成22年3月
GID(性同一性障害)学会第12回研究大会会長 池田 官司